誰もが絶賛の試合内容
井上尚弥、最短6戦目で世界一

　日本の世界王者は強くなったとつくづく感じる。昨年、国内で22試合の世界戦が開催され、19勝3敗という好成績を記録した。勝率86％（日本人対決除く）は史上1位なのだという。
　今月は世界戦を3試合掲載。いずれも日本のボクサーが豪快なKOで勝ち名乗りを受けた。
　八重樫東はメキシコのオディロン・サレタと対戦。サレタは豊富なアマ・キャリア（121戦106勝15敗）を誇り、選手層の厚いメキシコ軽量級を勝ち上がってきた選手。気合い十分で王者に挑んだが9回、八重樫の痛烈な右カウンターに沈んだ。王者は次戦でローマン・ゴンサレスの挑戦を受ける。
　河野公平はベストの試合内容で王座返り咲きに成功。この河野、3度目の挑戦で世界を獲得したテーパリット・ゴーキャットジム戦もそうだったが、ここ一番で本領を発揮するのだから凄い。老獪なデンカオセーン・カオウィチットから4回に右カウンターで最初のダウンを奪い、8回にも右をジャストミート！　快心のKOで再び世界王者に君臨した。
　今月の表紙は井上尚弥。誰もが絶賛する試合内容で堂々の戴冠。3月に入ってインフルエンザにかかり、高熱を発症。過酷な減量も体力を削ぎ落とした。試合では、3回終盤に左足がけいれんするアクシデントにも見舞われたが、それら『負の要素』を蹴散らす極上のパフォーマンスで安定王者アドリアン・エルナンデスを一蹴。静かな井上にしては珍しくリング上で喜びを爆発させた。さぁ、これから第２章のスタートだ。
（デザイナー・周東）